妊婦歯周病治療に革命的な治療法が発見される。安心安全な新技術とは?

2017年09月04日

バイオガイア社(本社スウェーデン: BioGaia AB)は、抗生剤治療が難しい妊婦歯周病治療に対して、L.ロイテリ菌プロデンティス菌株の継続投与により、抗生物質と同レベルまで歯周病菌の抑制が可能となる臨床試験データを発表しました。これにより妊婦と胎児に無害な妊婦歯周病の治療が可能となり、現在約10%と言われる低体重児・早産の発生率を大きく引き下げることに貢献できることが期待されています。

約10人に1人が低体重児・早産で生まれる異常事態

厚生労働省の発表(H21)によると、統計調査時点で9.6%の確率で低体重児・早産が発生しており、これは世界と比較しても高い水準にあると警告指摘されています。

低体重児発生率

妊婦の高い歯周病罹患率

その一方で、妊婦歯周病の有病率は年々増加傾向にあり、広島県歯科医師会の調査によればH21年度時点で妊婦の78.6%が歯周病であることが判明しており、これは一般の罹患率(75%)を上回る数字となっています。

妊婦歯周病有病率

妊婦歯周病有病率

このことから、かねてより歯周病と低体重児・早産発症の関連性が指摘されており、近年の研究では血流を介して運ばれる歯周病菌や菌毒素が胎児の生育に直接悪影響を与えていることや子宮の異常収縮を発生させることが判明してきました。

子宮異常収縮

子宮異常収縮

(日本歯周病学会発表資料より抜粋)

抗生物質で治療がしにくい妊婦歯周病

通常の歯周病治療は、歯科衛生士などによるプロフェッショナルクリーニング(PMTC)と抗生物質の投与が中心に行われていますが、妊婦の場合は特に妊娠2-4ヶ月期は胎児の催奇形性が指摘されていることから薬剤治療には大きく制限をかけざるを得ない状況でした。その為、PMTCだけでは歯周病菌の除去が困難であり、妊婦歯周病の治療には抜本的な有効策が乏しい現状でした。

プロバイオティクス「L.ロイテリ菌プロテクティス菌株」の投与で歯周病菌を大幅に抑制することに成功

これに対して、バイオガイア社は天然の抗菌物質「ロイテリン」を産生して病原菌の抑制を行う「L.ロイテリ菌プロデンティス菌株」を歯周病患者に投与することで歯周病菌を有意に抑制できることを確認。査読済論文として学会誌に発表しました。

歯周病菌抑制グラフ

歯周病菌抑制グラフ

この研究では、歯周病菌の内、特に悪性度が高いとされる「A.a菌」「P.g菌」「P.i菌」の3種類の菌に対する抑制レベルを評価。その結果、80%-98%の高い抑制効果を確認しました。またその効果は歯科衛生士によるSRP併用時とSRP未実施の場合を比較してもほぼ同等レベルの抑制が可能なことも合わせて確認しました。

妊婦歯周病治療に新しい光を

この研究を指揮したコペンハーゲン大学歯学部長でありIADR個人最優秀研究者賞受賞者でもあるスヴァンテ・ツエットマン教授は、

「これは今まで困難だった妊婦歯周病治療に画期的な希望の光を与える発見だと思います。抗生剤は一般の患者にも極力使用を控えるべきであることは国際学会ではもはや常識になりつつあり、抗生剤を使わずに歯周病菌の抑制が行えるということは、単に治療だけでなく予防の領域での活用も可能になるということ。晩婚化により、妊娠・出産も高齢化しつつあり”ワンチャンス”の妊娠と出産をいかに成功させるかに女性の関心が高まっている現在、妊婦に対する薬剤を使用しない治療法の確立は急務の課題であると考える」

と述べています。

更に詳しい情報はバイオガイアジャパン株式会社(0120-810-255)までお問い合わせ下さい。