糖質制限ダイエットは口臭を悪化させる?
最近話題の「糖質制限ダイエット」。
糖質や炭水化物を避けさえすれば、ベーコン、チーズ、ステーキやアボカドといった、今までダイエットではタブーとされてきた食材を好きなだけ食べれて、しかも痩せるとなると、これはもうダイエッターには理想の食事と言って良いかもしれません。チーズたっぷりのオムレツやリブアイステーキを好きなだけ食べながら痩せるとは。まさに夢のようですよね。
て、…うーーん。そんなにいい事ずくめの文字通り「うまい話」があるのだろうか。
うまい話にゃ絶対にウラがある。ついついそう考えてしまう編集部では、そのウラを探ってみました。
そして発見。「え?!ホントに?糖質制限、ちょっと待ったー」のお話。
糖質制限ダイエットをすると口臭がヒドくなるという驚きの主張をする専門家たちがいるのです。
糖質制限ダイエットはカンペキではないかも?
糖質制限とはカロリーではなく糖質が肥満の原因であると考え、糖質摂取量を徹底的に減らすことで短期間で驚くほど痩せるダイエット方法として近年マスコミでも盛んに取り上げられるようになってきています。
ダイエッターの皆さんで未だに「脂肪分が多い食べ物=太る食べ物」と信じている人はむしろ既に少数派かも。
砂糖や炭水化物を抑えて、その代わりに肉やチーズや卵、マヨネーズのようなたんぱく質を摂ることで、あなたの身体は脂肪を燃やせるようになるのです…少なくとも理論的には。でも、本当にそれはそんなに良いことずくめなのでしょうか?
実はそうでもないかも知れません。医師たちは、糖質ダイエット信者にとっては少々不都合な問題点を指摘しています。
生ゴミのような臭いの口臭の正体
砂糖が入った食べ物はもちろんのこと、米やパン、麺類のような消化されると高い糖類に変わってしまう炭水化物を食べない。
あなた自身も「糖質セイゲニスト」(糖質制限をする人)とも呼ばれる人達のお仲間かもしれません。
しかし、その食生活は、実はあなたの「息」に影響を及ぼすのです。脂肪とたんぱく質からエネルギーを得ることの副産物の一つが「周りの人が耐えられないほどの口臭」を生む場合があるようなのです。もちろんそれは肉などの「脂」が原因ではありません。
糖質制限ブームの原点になった、医学博士ロバート・アトキンス氏の確立した「アトキンス・ダイエット」と呼ばれる食事法は、もともと重症の糖尿病患者を短期間で痩せさせるために開発されました。この方法では、食事中の炭水化物を可能な限り減らし、その代わりにタンパク質を多く摂取する一種の「食事療法」です。
これはすなわち、最も低糖質な「ケトン食事法」で、炭水化物はほとんど摂取せず、脂肪とたんぱく質からほとんどの栄養素を得るものです。
もしも、あなたが1日に食べる炭水化物の量を30gグラム以下に制限し続けたら、あなたの身体はケトン代謝へ移行していきます。
つまり、糖質が入らなくなったあなたの身体は、生命活動を維持するために炭水化物からグルコースを作る代わりに、蓄積した脂肪を燃やすのです。
その結果、あになたの身体には「ケトン体」が作られます。このケトン体が息の中に混ざり、まるで腐ったフルーツや金属のような嫌な匂いの原因となるのです。
口内の乾燥が問題
「私は114ポンドも痩せたけれど、その代わりに私の息はアセトンのような匂いがするようになった!」とフェイスブックに投稿している人(
a story about the ketogenic diet)や、
「こんなに臭い息は本当に不快!ティーンエイジャーの子供が耐えきれず車の窓を開けるほど臭いんですって!」と書き込む人もいます。
こういう書き込みをしている人の状態を実際に診断してみたわけではありませんが、彼らの場合、「ケトン体生成」が口臭の原因になっている可能性が否定できません。しかも、問題点はそれだけではありません。
低糖質ダイエットでジュースなどの糖類を含むドリンクも制限してしまうと、意識してお茶や水を十分に飲まないと水分自体が不足しがちになります。その結果、徐々に身体の中の水分が失われ、口の中が渇く「ドライマウス」の状態になってしまいます。
ドライマウスや歯周病だと「好気性菌」が強烈な口臭をつくる
ひどい口臭の原因になるひとつに、口内に繁殖する「雑菌」があります。
この雑菌は「好気性菌」とよばれる種類のもので、乾燥した空気の多い環境を好みます。からだに水分が不足して唾液の分泌が減ってドライマウスになると、口の中から喉の奥の方まで雑菌が爆発的に繁殖します。高齢者で寝たきりの方などは、この雑菌のせいで口の中が真っ白になるほどで、この雑菌が作る腐敗臭が強烈な口臭の原因となるのです。
また、歯周病があると口内に出てくる浸出液や血液が増えます。口臭の原因菌は、こうした浸出液や血液を好んで食べて分解するため、それが台所の排水口と似た状態を作り出して、似たようなひどい匂いを生むのです。
有効な対策はあるのか
もちろん、あなたの口臭の原因はケトン体やドライマウスだけではないかもしれません。
例えば、歯磨きやフロスが充分にされず食べ物のカスが残って腐敗して臭ったり、歯周病があったり、大量のニンニクを食べていたり。
でも、これらは対策の仕方があるものです。ちゃんと歯磨きしたりガムを噛んだり、悪玉菌を抑えて歯周病を治療すれば良いのですから。
しかし、糖質制限ダイエットから始まるひどい口臭は、ケトン体が原因のため、バクテリアの影響はあまり大きくありません。
この場合は糖類を多く含んだ食べ物は、直接口臭には関係していないとも言えるのです。
「ケトン体からくる口臭を根本的に抑えるためには炭水化物の摂取量を増やすことしかないでしょう」
アルドレッジ医師は炭水化物を多く含むフルーツや野菜を食べることは健康的な解決法だとしています。
もちろん糖質制限や、ケトン食事法を経験した人たちのエピソードはそれぞれ違うでしょう。また、糖質制限も正しく行えばケトン体生成は一時的な現象で、徐々に抑えられていくとする学説もあります。中には、炭水化物を食べないことで適正体重を維持し、血糖値も改善し、その結果、歯周病も改善して息も爽やかに保っている方もおられるでしょう。そもそも、口臭よりもはるかに重大疾患である糖尿病の治療の方が優先すべきだという考え方もあると思います。
しかし、もしもあなたや、あなたの愛する人の口臭が気になるとしたら、これまで自分が取り組んできた我流の方法を見なおす必要があるのかも知れません。糖質制限ダイエットで体重を落とすのはクールなことだと信じていたのに、人と近づいてコミュニケーションを図ることに自信がなくなってしまうかもしれません。
過ぎたるは及ばざるが如し。
自分のコンディションに合った正しいダイエットと息のケアを真剣に考えてみる時なのかもしれないですね。
(参考文献 : Via: https://www.thrillist.com/health/nation/ketogenic-diet-causes-bad-breath)